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ほぼ連載小説 マスカレード vol.1
「どうしたの! ここ、さっき通った場所じゃない!」
「そういえば・・・・・」
「珍しいはね。あなたが方向を間違うなんて。」
奈美は不思議そうに僕を見た。
僕はドライブ好きで、道を間違うことはめったにない。初めて行った場所でも、正確に東西南北を理解して運転している。
「どうやら同じ場所をグルグル回っているようだな。」
「そうね。」
「あそこで少し休憩しようか。」
「ええ。」
僕は、夙川沿いの小さなファッションビルの駐車場に車を止めた。
「大丈夫? 気分悪くない?」
「ああ。大丈夫。」
車を降りた僕達は、コンクリートが剥き出しでデザインされた階段を上がり、バドワイザーのポップな看板のあるカフェに入った。
「いい雰囲気ね。」
「そうだね。レトロ調のようで新しさがあるインテリアだね。」
僕は店の中を見渡し、テーブルや椅子などのインテリアを観察した。
「ね〜、いつもそうやって分析するの?」
「そうでもないけど。いや。職業病かな。」
「インテリアデザイナーだった?」
「近いけど違う。正確にはマーチャンダイザー。」
「マーチャンダイザーって?」
「こんなファッションビルなどをトータルにプロデュースする仕事。」
「へ〜そうなんだ。知らなかった。」
奈美は苦笑した。
土曜日の午後、よく晴れたその日は時間さえもゆったりと流れていた。
「私、この曲好きなの。なんていう曲? 知ってる?」
「ジョージ・ベンソンのマスカレードだよ。」
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