ほぼ連載小説 マスカレード vol.41(2008.8.5)

「うっ!」
「どうしたんですか?」
 セイラの顔にヒゲのようなものが無数に生えてきた。だんだん息も荒くなってきた。
「この子?」モネが言った。
 セイラの顔が黒ずんできた。そして、手足にもヒゲのようなものが無数に生えてきた。
「ぐっ!」
 僕たちは、セイラの変化を黙って見るしかなかった。
「ウオ〜! ウオ〜!」セイラの声が六甲山に響いた。
「オオカミ?」モネが聞いた。
「違う。オオカミじゃない。」セイラが答えた。
「じゃあ、何?」
「犬。」
「犬?」
「いぬ。」
「セイラは犬だったの?」
「違う。セイラは人間、おれは犬。」
「どういうこと?」
「今日は満月。だから入れ替わった。」
「満月を見て、変身するのはオオカミ男でしょう?」僕は聞いた。
「犬もいる。」
「そう。じゃあ犬男?」
「んだっす。」
「んだっす? なにそれ?」
「山形弁よ。」妻が言った。
「山形弁? どういう意味?」
「そうでございます。という意味よ。」
「おまえよく知っているな。」
「山形に友人がいたから。」
「んだっす。」

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