ほぼ連載小説 マスカレード vol.32(2008.7.13)

「お待ちしておりました。山野さん。」
「すいません。連日で・・・・・。」僕たちは、昨日と同じ部屋に入った。
「今日は、二つ質問があるんですが。」
「どうぞ。」
「ミス・モネも知っていますが、昨夜セイラという若くて美しい女性に出会って、彼女はいったいどんな状況なのでしょうか?」
「若くて美しい?」モネが口を挟んだ。
「少しお待ちください。」アルベルト博士は一瞬目の焦点をはずし、遠くを見つめた。
「解りました。そのセイラという女性は今では数少ない普通の人間です。つまりアンドロイドではない。彼女は売られてきたようです。だから、買い主から逃げた。」
「なぜ?」
「そこまでは、解りません。」
「そうですか・・・・・。もう一つは、著名な建築家にデザインをお願いしたのですが、その中心となる場所にうちの犬が描かれていたんです。」
「少しお待ちください。」アルベルト博士は、また一瞬目の焦点をはずし、遠くを見つめた。
「他には何か描かれていましたか?」
「人間、動物、植物、昆虫など、自然界に存在するものばかりです。まるで、地球の縮図のような・・・・・。」
「そうですか。」アルベルト博士は、相変わらず遠くを見つめたままだ。
「解りました。ノアの方舟ですな。」
「ノアの方舟?」
「地上に蔓延した悪を滅ぼそうと、神が大洪水を起こす。しかし、種の保存の為、一部の人間、動物、植物などをノアの方舟に乗せ救う、という話です。」
「つまり、あの建物自体がノアの方舟として設計されていると?」
「たぶん、そうでしょう。」

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