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ほぼ連載小説 マスカレード vol.29(2008.7.7)
「波動技じゃな。」道端に座っている老人が、突然言った。黒色のカンフー着みたいな服を着ている。白髪で長いヒゲもほとんど白い。横には小さな鳥かごがあった。
「今のは波動技と言うんですか?」僕はその老人に聞いた。
「違うわよ。」モネが口を挟んだ。
「若い娘さんが、その技の名前を知らないのは無理のないことじゃ。」
「カンフーの技の一種ですか?」僕は聞いた。
「そうじゃ。しかし、もうその技を使えるのはほとんどいないがのう。」と言った瞬間、老人の存在が消えた。同時にモネの存在も消えた。しかし、すぐに二人の存在は戻った。
「と、いうことじゃ。」老人は言った。
「ありがとうございます。」モネが答えた。
「どういうこと?」僕は聞いた。
「この先、気をつけて行きなされ。」老人は言った。
「あの、お名前だけでも?」モネが聞いたが、老人は笑みを浮かべるだけで答えなかった。老人は立ち上がり歩き出し、持っていた杖で看板を指した。その看板には「COPACABANA」と書かれていた。
「さあ、行きましょう。」モネが言った。
「ああ。」
「このビルよ。」
「なんで解るの?」僕は聞いた。
「感よ、感。」
「感?」
「いいから。」僕たちは、小さなファッションビルに入っていった。そのビルは高級ブランドが並ぶファッションビルではなく、手頃な価格帯のものを売っている。中にはアウトレットショップもあった。地元の若い女性たちで賑わっている。僕たちはエレベーターで5階に上がった。
「あっ。セイラさん!」エレベーター近くのショップでセイラを見つけた。
「すいません。勝手にホテルを抜け出して・・・・・。」
「いや、心配しただけで・・・・・とにかく無事で良かった。」
「・・・・・。」セイラは下を向いたままだ。
「・・・・・私にかまわないでください。」
「・・・・・解りました。」僕は答えた。モネは隣で笑っている。
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