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ほぼ連載小説 ナイトバーズ vol.1
「だったら私を殺して!」
涼子の目は真剣そのものだった。
僕は驚き、声も出なかった。
涼子と僕は会社の同僚。仲は良かったが、友人以上、恋人未満の微妙な関係。お互い、独り暮らしなので時々一緒に遊んでいた。
部屋にはシャカタクのナイトバーズが流れ、窓の外には新神戸オリエンタルホテルのライティングされたシースルーエレベーターが闇夜を裂くように動いていた。
玄関にはいつもきちんと揃えてあるブティックオオサキのハイヒールが散乱していた。それは、一緒に並んだ時に僕より背が高くならないようにとオーダーした7センチヒールだった。
「もう生きてたってなにも楽しい事がないのよ。もう疲れたのよ。」
「だからあなたの手で殺してほしいの。」
僕はどう対処していいか判らなかった。いつもは多弁な僕も言葉が見つからない。ただ涼子の肩を抱き寄せるのが精一杯だった。彼女のニナリッチの香水が二人を包んでいた。
「もっと強く抱きしめてよ。もっと強く。」
「何回も自殺しようと思ったわ。でも死ねなかった。死のうと考えた時、いつもいろんな人の顔が浮かぶの。頭の中でね。だから・・・」
「時間が止まればいいのに・・・」
彼女は少し落着いたように見えた。
「寂しいのよ。会社の人も、友人も、家族もいるけど独りぼっち。」
「なぜ?」
僕は初めて言葉が出た。
「私がなぜあなたと平日の夜に会わないのか判る?」
「彼氏のこと?」
「違うわ。会えないのよ。」
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