ほぼ連載小説 マスカレード vol.14(2008.5.30)

「何を言っているんですか? 私の中だけではなく世界中が2008年ですよ。」
「そう。そうインプットされていました。山野さんの脳は・・・・・。」
「インプット?」
「西暦2008年の日本の出来事は?」アルベルト博士は一瞬目の焦点をはずし、遠くを見つめた。
「インプットとはどういうことですか?」
「少しお待ちください。」アルベルト博士は相変わらず遠くを見つめたままだ。
「いったい?」
「2008年は天災も含めていろいろありましたな。2009年は更に加速して・・・・・。」
「気が狂っていると思うか?」またあの声だ。
「いえ。ただ・・・・・。」僕は心の中で答えた。
「山野さんは信用されないかもしれませんけれど、今は西暦2043年です。少なくともこの地域では。」
「どういうことです?」
「今ここ香港では西暦2043年です。といってもこの香港はバーチャルなんです。実は、2040年までに人類の8割が死滅しました。そこで、生き残った我々で仮想都市を築いた。幸い人間の5感だけに反応する物質が出来ていましたから、それを利用して仮想都市を作ったのです。」部屋の壁から1匹の猫が現れ、なにごともなかったかのように反対側の壁を通り抜けていった。
「今の猫をご覧になったでしょう?この部屋もバーチャルなんです。猫は何も無い大地をただ歩いていただけです。」
「しかし、私達は現実に存在しているでしょう?」僕は興奮ぎみに言った。
「ええ。一部のパーツはですが・・・・・。」
「パーツ?」

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